郷野聡寛選手 インタビュー公開!

インタビュー

公開日:2016/11/13

2016年11月30日(水)に後楽園ホールで行われます「REBELS.47」にて日菜太選手と対戦いたします、郷野聡寛選手のインタビューを公開させていただきます。

「MMAとキック。いまとなってはどちらも本職です」



―― 記録を調べてみたら、去年行なった7試合は全部立ち技でした。

郷野 そうなんですよ。どこかと契約すると、ほかのところに出られなくなる。俺の場合、どこかと契約すると、途中で大会が開かれなくなることもあった。海外ばかりだったのは日本と違ってしがらみがなかったから。アウェイで闘う方が楽でしたね。

── 今年になってから1年半ぶりにMMAに復帰しました。

郷野 REALの方はトーナメントだったので、勝てば自然と次の試合が組まれると思っていました。でも、次戦の通達は来ていないので、もう無理でしょう。一回戦のファイトマネーはきちんといただいたけど、俺は優勝賞金を狙っていたので残念です。まあしょうがない。僕からは何もできないですし。そういえば、ブラジルでやった2試合(2014年5月と7月のThe Hill Fighters)はファイトマネーすら出なかったんですよ。

── エッ!

郷野 大会の主催者と僕がブラジルで所属していたジムのオーナーが同じ人間だったんですよ。彼がジムを運営していたからこそ、俺は(現在、郷野のメイントレーナーである)ベンケイに出会えた。ベンケイがブラジルに呼んでくれなかったら、あのまま俺は終わっていたと思う。だから、これもしょうがないかなと割り切れます。引退するまでベンケイと一緒にやりたいと思っているので。

── ブラジルはどこを拠点にしていた?

郷野 グラマドというところなんですけど、南すぎて逆に寒いところでした。イタリアの移民が作った街で、ブラジルの中のヨーロッパと呼ばれていて治安は良かったですね。いまベンケイはリオのちょっと北の方にある、UFCに出ているエリック・シウバという選手がやっているジムに移ってトレーナーをやっています。早くそこに行きたいですね。ブラジルにはずっと住みたいと思っています。

── ポルトガル語の方は?

郷野 なんとか生きていけるレベル。買い物はできるけど、彼女はできないという感じですね(苦笑)。

── ところで、修斗でのデビューは96年なので、今年は21年目ということになります。

郷野 Sherdogだと95年や96年のトーナメント・オブ・J(ジャケット着用の総合格闘技トーナメント)も入っているので、何を持ってプロデビューとするかが問題。まあ、どっちでもいいですけどね。

── 同期は?

郷野 マッハ(桜井マッハ速人)。あと宇野(薫)君も修斗でデビューしたのは俺より半年くらいあと。年もひとつしか違わない。

── 同世代の選手が頑張っている姿を見たら励みになる?

郷野 ならないですね。どこで誰が頑張っていようとあまり変わらない。

── 人は人というスタンスですね。今回は郷野選手がプロデビューした時にはまだ小学生だった日菜太選手と闘うことになりました。

郷野 エッ、日菜太っていくつなんですか?

── ちょうど30歳です。

郷野 へぇ、まだ25歳くらいかと思いました。でも、30歳を過ぎてあんな喋りしかできないのか。まあ人のことだからどうでもいいけど。

── 日菜太選手といえば、左ミドルキックが代名詞です。

郷野 俺には当たらないでしょう。

── 日菜太選手は「僕の左ミドルを避けることはできない」と豪語していました。

郷野 お互いやってみればわかるでしょう。当たるかもしれないけど、俺には見えているので、ダメージを逃すことができる。

── かつて元ボクシング世界王者だった川島敦志さんが見せたスリッピングアウェイ(パンチが伸びる方向と同じ方に顔を背けるようにして受け流し、パンチをかわしたり、衝撃を和らげる高等テクニック)を思い出します。

郷野 瞬間的にズラすことはできるので、ダメージを蓄積することはないでしょう。

── プロモーションに提出したプロフィール用紙の得意技の欄には「ディフェンス」と書いていました。

郷野 昔からそうなんですよ。まあ、守っているだけだったらポイントはもらえないので(苦笑)、ポイントのとり方も考えています。昨年12月のシュートボクシングの坂本優起戦(郷野の判定勝ち)よりいい試合ができると思う。

── もうひとつの郷野選手の代名詞だったパフォーマンスやトークは?

郷野 最近はそれを発揮する場がない。この間の会見でもスイッチが入らなかったですからね。日菜太を相手だと張り合いがなかった。あんな奴を相手にするのは面倒臭い。自分が30の頃にはもう少しいろいろ喋れたと思いますけどね。

── 今日のトークは乗っていますね。

郷野 この間の会見なんか俺はビカビカの格好をしていったけど、日菜太は普通に電車に乗れるような格好で来ていたじゃないですか。人にジロジロ見られるし、駐車場から会見場所まで歩くのは結構恥ずかしかったんですよ。そういう思いまでしてわざわざ行ったのに、日菜太は普通の兄ちゃんじゃないですか。

── そういえば、会見の時に日菜太選手は「減量をしっかりやってください」と念を押していましたね。

郷野 それくらいしか言うことはないだろうなと予想していたら、本当にそれしか言わないんだから。本当にガキだと思いましたね(笑)。

── 別に郷野選手を持ち上げるわけではないけど、最近の立ち技の試合を見ている限り、MMAファイターがキックに挑戦するレベルではない。本職の現役王者に普通に勝っているわけですからね。

郷野 自分もそう思います。どっちが本職?いまとなってはどっちも本職ですよ。6年前に階級を下げた時には減量指導していた人と合わなくて、俺はボロボロになってしまった。簡単にいうと、慢性的な栄養失調になってしまったんですよ。半年間、女には全然興味がなくて指一本触れなかったくらい。それからブラジルに行って(心身ともに)戻ってきているという実感がある。ただ、とんでもないどん底を味わったことは確か。その差が今回の一戦に出ればいいかなと。試合だから勝たないといけない。自分はみんなを驚かせるものは持っていると思いますよ。

── 最後に年末のRIZINは気になる?

郷野 本当は去年中国の英雄伝説のトーナメントで優勝したらRIZINに出すという話をもらっていたんですよ。実際優勝したので、これで大晦日と期待したけど、話は来なかった。まあしょうがないですよ。当時俺の商品価値はその程度しかなかったわけですからね。またそういったところから声をかけてもらえるような商品価値をもう一度作らないと。

── 再構築する?

郷野 山本美憂もミルコ・クロコップも俺と同じ1974年生まれなんですよ。もうひとつ74年枠を広げてもらってもいいんじゃないですかね。もうひとつ、今回俺が日菜太に勝ったら、俺がブアカーオとやってもいいんじゃないですかね(微笑)。

○プロフィール
郷野聡寛
所  属:GRABAKA/Benkei MMA System
生年月日:1974年10月7日生まれ(42歳)
出  身:東京都東久留米市
身  長:176cm



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