ヤスユキ選手 インタビュー公開!

インタビュー

公開日:2016/7/27

2016年8月7日(日)に大田区総合体育館で行われます「REBELS.45」にて梅野源治選手と対戦いたします、ヤスユキ選手のインタビューを公開させていただきます。

「梅野選手の僕に対する評価は全て正しいと思う。でも、それが全てではない。」

聞き手:布施鋼治



7月中旬、ヤスユキが住む滋賀県草津市を訪ねた。駅近くにある由緒あるお寺でヤスユキに8・7梅野源治戦についての話を聞く。梅野源治の発言をぶつけると、ヤスユキは言った。「攻撃を数値化すると、明らかに梅野選手の方が上。でも、格闘技はそれだけじゃない」。


── いよいよ梅野源治戦が近づいてきました。いまはどんな心境?

ヤスユキ いつもと変わらず、マイペースで練習しています。日々同じことを繰り返すだけです。それはデビューの時から変わらない。

── 大一番を前にしてもヤスユキ流を貫く?

ヤスユキ 貫くというか、そんな大袈裟なものではなく、本当に自分のすべきことを1日1日こなしていくだけですね。やっていく中で見えてくるものもある。日々の練習の中で気づく部分があることも大事だと思います。

── いわゆる”気づき”というやつですね。

ヤスユキ ハイ。「ああでもない、こうでもない」とやっていると、気づくことも多い。それは試合直前まで続くと思います。

── ここ数日で一番大きな気づきは?

ヤスユキ なんですかね、仮想梅野で練習しているけど、自分としては「これはいけるだろう」と思って練習で使ってみたら全然ダメだったり。日々その違いを埋めていく作業ですね。いざフタ(試合)を開けてみないことにはわからないですけど。

── ちなみに仮想梅野は誰が務めている?

ヤスユキ 背の高いアマチュア選手です。しっかり梅野選手の動きを勉強してやってもらっています。

── 梅野選手といえば、真っ先に思い浮かぶへのは強いプレッシャーです。

ヤスユキ そうですね。その部分を重点的にやっています。

── そういえば、ヤスユキ選手は前回のスターボーイ戦後に「相手のプレッシャーは想像以上だった」と発言していますよね。

ヤスユキ そうですね。でも、スターボーイのプレッシャーと梅野選手のそれはまた質が違うのかなと思いますね。これまで梅野選手ほど背の高い相手と闘った経験もないですし。

── 闘いづらい?

ヤスユキ 闘いづらいと思いますね。自分よりリーチのある選手とはなかなか対戦しない。格闘技をやるにあたって、リーチがあって早く動けたらそれだけでものすごいアドバンテージじゃないですか。それを体現している梅野選手はやはり最強の部類に入りますね。

── そういうヤスユキ選手も背が高くてリーチがある方ですよね。

ヤスユキ だから結構勝ててきたというのもあると思います。でも、梅野選手の方が僕より手足は長いと思いますよ。

── 現段階のシミュレーションとしてそこは十分攻略できる?

ヤスユキ 最初は全然ダメだったけど、ようやく形になってきたかなというのはありますね。

── それはあのプレッシャーをはねのけたり、すかす術を見つけたということ?

ヤスユキ はねのけたりすることはできないですね。ただ、うまいことを相手のプレッシャーを利用したいなとは思います。

── 柔道でいうところの”柔よく剛を制す”みたいな感じ?

ヤスユキ なかなか言葉でいうほど簡単にはいかないけど、理想ではありますね。

── サバくみたいな感じ?

ヤスユキ すり抜ける。僕がやろうとしているのはそういうことです。サバくとはちょっと違う。闘牛士とも違う。例えると剣道でいうところの胴ですね。

── 小手や面を狙う素振りを見せつつ胴を狙う感じ?

ヤスユキ まあそんなイメージです。その言葉通りにボディを打つという意味ではないですよ(苦笑)。相手が振りかぶった時に胴をズバッと斬る。そういうイメージだということです。まあ実際にやってみないとわからないですけどね。

── ヤスユキ選手の強みは過去に強豪日本人選手を何人も倒しているということです。

ヤスユキ 僕の中でもそれは記憶として刻み込まれています。最近の中では羅紗陀戦が印象に残っていますけどね。

── それは久しぶりにvs日本人で敗北を喫するという結果に終わったから?

ヤスユキ 読み違えましたね。力量を読み違えたというのがありました。過去のVTRを見ながら、羅紗陀選手の力量はこれくらいかなと計っていたけど、実際にやってみたらちょっと違っていた。

── 梅野選手はどうですか?

ヤスユキ まあこればっかりは対峙してみなければわからないので。楽しみではあるけど、相手次第ですね。相手が来なかったら僕も行かない。僕のガードとか関係なしに梅野選手がガンガン来るなら、僕もスイッチが入る。

── スイッチが入る?

ヤスユキ 自分の試合を振り返ってみると、スイッチが入っている試合と入っていない試合がある。スイッチが入った試合って「負ける」ではなく、「ヤバい、殺される」と思った時なんですよ。

── 生命の危機を感じた時に入る、と。

ヤスユキ そうですね。それで攻撃しているような。最近だったら、大月選手や町田選手との試合の時がそうでした。強いタイ人とやっている時はちょっと違う。梅野選手の最大の武器は殺気じゃないですか。僕も日本人に対しては「潰せるものなら潰してみろよ」という気持ちでやっていますから。

── だとしたら、今回スイッチが入る可能性も高い?

ヤスユキ それくらいの意識がないとスイッチが入らないのかなと思いますね。

── 今回は入るのでは?

ヤスユキ いいのをもらったらわからない。まあ何もないかもしれないし、それはわからない。大月戦の時もそうだったけど、スイッチが入ったら無心のまま勝手に体が動く。それからはもう覚えていない。気がついたら、相手が倒れている状況でした。

── 先日、梅野選手にインタビューしたところ、再三ヤスユキ選手を挑発していましたが、そうした中「俺を本気にさせてくれ」という発言が印象的でした。

ヤスユキ あ~、だったら通じる部分があるかもしれない。梅野選手の闘志はすごいので、彼の試合を見ているとたとえそれが映像でも肩が凝るんですよね。悪い意味じゃないですよ。ただどうしてそうなるかといえば、やっぱり闘志があるからなんですよ。それは僕が求めているものでもある。

── その一方で「圧倒的な差を見せつけて勝つ」とも発言しています。

ヤスユキ 僕は圧倒したいとは思っていない。なんですかね。まあハンドスピードや蹴りの切れなどを数値化すると、明らかに梅野選手が強いことは誰が見てもわかる。確かにそれはそれで強さの参考にはなると思います。でも、それは陸上競技などの比べ方だと思う。格闘技はそれだけではない。それだけだったら、僕はこんなに勝っていない。もっと早々にやられて消えていますよ(微笑)。強さを数値化したら、僕なんてかなり下の方でしょう。僕の強さはあまり一般的ではない。お客さんが見てもあまりわからない。

── その言葉を借りると、好対照な強さを持っているということになります。

ヤスユキ そういう図式で見てもらった方が面白いんじゃないですか。格闘技は100mを何秒で走るという勝負ではない。結構そういう勝負に見えがちだけど、僕はまた違った勝負になるんじゃないかと予想します。ちょっと奥行きのある試合になったらいいんじゃないですか(含み笑い)。

── 梅野選手に対しては何が効果的だと思いますか?

ヤスユキ なんですかね。僕の攻撃はどれも軽いと思うけど、当てる場所とタイミングで5の力を10、20に変えていくところじゃないですか。そこがなかったら、僕は勝てない。

── 梅野選手にヤスユキ選手の攻撃を聞いたら、「ジャブとミドル。そしてストレート」と的確に分析していました。

ヤスユキ まあそうだと思う。梅野選手の僕に対する評価は全て正しいと思う。たぶん間違っていないでしょう。ただ、それが全てではない。僕はその全てでないところで勝負しているので、目に見えるところは参考にしない方がいいと思いますね。

── 過去に梅野選手と言葉を交わしたことは?

ヤスユキ 去年名古屋で一度だけありますね(5月10日、ムエタイスーパーファイト)。僕がセンチャイに負け、梅野選手がムアンタイに勝った時です。全試合終了後、出場選手がリング上に集まって集合写真を撮るじゃないですか。その時です。「お互い頑張りましょう」と言い合ったけど、今度はこうして闘う。予感?それはお互いにあったんじゃないですか。闘い続けていたら、自然とそうなりますよね。

○プロフィール
ヤスユキ
所  属:Dropout
生年月日:1985年3月22日生まれ(30歳)
出  身:滋賀県草津市
身  長:174cm
タイトル:REBELS-MUAYTHAIスーパーフェザー級王者
通算戦績:36戦24勝(8KO)11敗1分

^